小学生の部

優秀賞

サンダルのすきまから
八幡市立美濃山小学校 6年 奥道 希美おくみち のぞみ

「出てきた!!」
今年の夏、とても暑かった日のこと。小さな小さな生物が出てきたのだ。私の心はときめきに満ちていた。
 さかのぼること一週間前。母が私の部屋のそうじをしていた時のことだった。
「ナニコレ」
 という母の声が聞こえた。私はあわてて母のもとへかけよった。その時には姿も形もあとかたもなく消えていたが、母が説明してくれた。最初は親子そろって「小さなトカゲ」だと思っていたが正体がなにかを知りたくて、おじいちゃんに聞いてみた。特ちょうを全て伝えると、
「それはヤモリだよ」
 という答えが返ってきて、正直びっくりした。
 しばらく経ったある日、
「ふわぁ、おはよう」
 朝起きると、目の前には母の顔があった。すぐに眠気がふっ飛んだ。
「このあいだの、トカゲみたいなやつ、あれは本当にヤモリだったよ。サンダルのヒールと土台のすき間から出てきたよ」
 と言うと、虫カゴを出してきた。そこには本当にヤモリが入っていた。小さくて可愛い。
 見とれていると母が、
「どうする、ヤモリ。逃がす? 飼う?」
 と言った。私は迷った。
 結局は飼うことにした。舌の色がきれいでペロッとする仕草が可愛い。「ペロ」と名付けた。さっそく、ペロのえさを買いに行った。でもペロのえさは、ゴキブリの仲間だ。ペロのためならと思って世話をしているが、正直えさにはゾッとしている。

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