中学生の部

佳作

焼けたよ
東京都立大泉高等学校附属中学校 2年 中村 真奈なかむら まな

「焼けたね」
 今月だけでこのこのフレーズを何回聞いたことか。現に私は今、キャラメル色の肌をしているから、まあ否定はできないんだけど。
 私が入ってる水泳部は、週四回くらいで活動中。例年だとゴールデンウィークから泳ぎ始めるんだけど、こんな状況だから今年は七月から。待ちに待ったプール開きの日。あの日は、せっかく買ったソフトクリームが三秒で溶けちゃう、そんな感じの日差しだった。
「気をつけ。プールにむかって礼」
「おねがいします」
 ひさしぶりの開始のあいさつ。あれは気持ち良かったなぁ。その後、シャワーをあびてザッブーン。私のテンションはMAXだった。でもいざ泳いでみると、ぜんっっっぜん進まない。本当に。ガチめに。まあそんなわけで喜怒哀楽は激しかったけど、なんとか部活初日を終えた。
「あー。づーがーれーだー。」
 と重りでもつけたような足取りで帰ると、私はお風呂へ直行。そこで一番恐れていたものを見てしまった。そう、それはこーんがり焼けた私のお肌。想定内ではあったものの、こんなにくっきり跡がつくとは、ちょっと衝撃だった。
 それから二ヶ月弱くらい経ったのか――。今思うとなつかしいかも。私はこの夏、五十メートル平泳ぎの自己ベストを更新できた。それは私にとって大きな変化だったと思う。あの暑い日から練習をつんで、日焼けして、熱中症になって、筋肉痛になって、今の自分がある。自分に起こる全ての事が変化をもたらしてくれると私は信じている。変化するから前進する、変化するから成長するんだ。
「焼けたね」
 そうだよ。私は大きく変化したんだよ。今の自分をとてもほこりに思っているんだ。私は胸を張ってそう言いたい。

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