
アスファルトから立ち昇る陽炎。うだるような暑さが続く猛暑日。炎天下の中、部活終わりに僕は友達と二人で帰っていた。あまりの暑さで吹っ切れたのだろう。僕は誰にも言えなかった悩みをその友達に打ち明けた。
中学に入学して一か月、友達もできて順調に人間関係が築かれてきた。六年の終わりには人間関係について心配していたが、そんな心配は噓のように充実した生活を送っていた。また中学生になって初めて携帯を持つことを許され、僕は携帯を通じて連絡しあうことを楽しく感じていた。僕の連絡先の登録数はあっという間に数十件にまで膨れ上がった。
ある時、あまり話したことのないAさんから「明日一緒に帰りませんか」とメッセージが届いていた。その子とは席も近かったので、その時は深く考えずに了承した。それからというもの、一週間に一回は帰りのお誘いが届いた。しかし彼女と一緒に帰ることは僕にはあまり楽しく感じることができなかった。二、三回一緒に帰った後から僕は距離を取り始めた。「今日は友達と帰るから」「今日部活だから」などと言って断っていた。僕は「君とは帰りたくない」ということを察してほしかったのだ。それでも誘ってくるものだから、たまに一緒に帰っていた。
ある日、彼女から携帯で、僕のことが好きだという意味合いを持つ文章を送られた。その時、僕は即座に脳内会議を開いた。議題は「どんな反応をすれば自分にとって最善か」だ。会議で決定された案は「誤魔化す」ということだった。なぜなら、僕は彼女のことが好きでもないし、彼女から何か答えを求められたわけでもない。つまりなんと答えるべきか「誤魔化す」以外僕には思いつかなかったのだ。
部活終わりに僕はついに友達にAさんとの関係について相談した。すると友達は、
「僕だったら自分の気持ちをはっきり伝えるけどな」
といった。僕は気づいた。今まで僕は自分の思いをはっきり言わなかった。僕は自身の思いも言えない、勇気のない臆病ものだったのだ。僕は友達のアドバイスに深く感謝した。その数日後、彼女から「〇日に一緒に帰りませんか」と連絡がきた。僕は勇気を振り絞り決心した。「僕は君と一緒に帰りたくない」とAさんに送った。その行いが正しかったかはわからないが、肩の荷がおりた気分だった。
このようなことが起きたのはコミュニケーションの仕方を間違えたからだ。携帯では距離感をつかめずにやり取りをしてしまう。対面して会話をしていればこうはならなかった。対面して会話をすると相手の表情や声のトーンを読み取ることができる。そうして人間関係が築かれてゆくのだ。
この経験は、次の似たようなトラブルを避けるために活かすことができる。これからは大切な話をする際は直接会って話すようにしようと心に決めた。