
私は「がんばらない」と心に決めた。
友達の中にはスポーツの大会でメダルをとって授賞式でステージにあがる人がいる。そんな友達の姿は、朝日に照らされた海のように輝いてみえた。でも、私にも夢はある。ただそれは大切に温めておきたくて人に話そうとは思わない。そんな場面がないだけかもしれない。だから、ここで言うことにする。
私は家の小さな菜園で野菜の栽培をしている。祖父の畑で一緒に土を耕したり、鮮やかに色づいた野菜を収穫する手伝いをさせてもらったので始めてみた。米粒より小さなタネが重く湿った土をかき分けて発芽した日には、飛び箱で高い段を飛べたときのように、じんわりと感動がおしよせる。毎日少しずつ背が伸びていく植物。私の成長なんかより何十倍も早い。気温が高くなると朝はシャキッとしていた葉が私が学校から帰ってくると、もうだめだ~と人間と同じように暑さでぐったりしている。待たせてごめん、と言いながらゆっくりと水をあたえていく。夕暮れにはまた元気を取り戻してくれるのでホッとする。たまに黒アゲハが葉に止まり、小鳥が低空飛行で庭を通過していく時もある。ふらっと飛んで立ち止まる。面白いことを探しているように。
「がんばる」に「ない」の二文字をつけて「がんばらない」。そんな言葉がピッタリな自然界の動物たち。菜園にいると肩の力が抜けて自由に動く。「がんばらない」。そのほうが選択肢が広がるように思えた。
私は将来、日本の農業に関わる職業につきたい。そこには、新しい技術も使うことになる。そのためには、植物だけでない学習が必要になるのは間違いない。世界中のいい取り組みも学びに行きたい。今は自由に面白いと思えることを面白がって「がんばらない」と決心した。いつかの発見のために。